コラム - “フードポルノ”に三ツ星シェフが苦言 「知的財産の侵害」か? 最高の宣伝方法か?

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"フードポルノ”に三ツ星シェフが苦言
「知的財産の侵害」か最高の宣伝方法か

“フードポルノ”とは、見た人の食欲を掻き立てる食べ物画像のことで、昨今、レストラン等で撮影した料理写真をソーシャルメディアに投稿する行為が一般的に行われている。レストラン側としては最高の宣伝になると歓迎する声がある一方、行き過ぎた撮影マナーの悪さに一部の料理人は苦言を呈しているという。海外メディアではそれぞれの見解を紹介している。
(以上 NewSphere(ニュースフィア)2014年2月18日記事のリード部分 記事詳細はリンクからこちら


★これは問題提起。フードポルノという現象にどう対応すれば

 今回はフードポルノと呼ばれる現状についての個人的見解を書くのではない。ただ、「海外から見ても、日本の現象はもしかしたら、美味しくないのかも」ということについてはわかる。国際文化の違いも相当あるが、これは相当悩ましいという現状があることに気づく。東京オリンピックの開催を控えている日本が、神戸ランチ学会としてできることとして、どんなものあるのかというご意見を集めたいと感じたので、テーマ提起としてあげてみたかった。
 まず、次の先のNewSphere(ニュースフィア)の詳細記事を読んでみると、私が面白いと感じたのは、海外メディアの報道の仕方である。
 ニュースフィアは、海外メディアの報道の翻訳、ポイントまとめのような記事という特徴がある。記事の下のほうにある参照リンクをクリックしてみると、どの記事を参照したのかがわかる。今回は、英国で発行部数最多のテレグラフ(The Daily Telegraph,64万部)の海外特派員(Foreign Correspondent)の記事や、BBCなどの記事にもたどれた。
 よって、日本に置き換えるなら、読売新聞やNHKの報じた記事をもとに、日本人に対しての問題提起の記事である。


By Harriet Alexander
1:19PM GMT 16 Feb 2014
For some diners, taking a photo of your perfectly-presented plate is a standard a way of showing appreciation.
But for some French chefs, it is an insult to their art.
Now a group of leading restaurateurs ? among them a man with three Michelin stars ? is campaigning to end the culture of "food porn" and ban smartphone photos from their restaurants.
"Before they took photos of their family, of their granny ? now it's photos of the dishes," said Alexandre Gauthier, chef at the Grenouillere restaurant in La Madelaine-sous-Montreuil, 40 miles from Calais.
"There is a time and a place for everything. Our aim is to create a special moment in time for our clients. And for that, you have to switch off your phone."

 ここで、参照記事を英語がわからないなりにも、見てみると、海外メディアについては考えさせられることがあることに気づくはずだ。
 テレグラフの海外特派員であるHarriet Alexander記者の記事を見るとTwitterのアカウントがリンクされている。日本でも最近はそういう例も少し見受けられるが、まだほとんどできてない。もっとも記事の性格もあるだろう。しかし最近、日本を代表する報道のあり方の中で、「捏造や誤解」で大きな問題が起こったケースなども考えると、日本の新メディアでは、意外と早く対応ができており、伝統的なメディアでは対応に二の足を踏んでいる。
 神戸ランチ学会には、プロのメディアの方も多数いるが、SNSを活用した取材活動、報道ができていると感じるケースは少ない。FBと違い、Twitterのアカウントなどは、完全に仕事用、プライベート用は分けれる。これはなぜだろうか。記者であれ、編集者であれ、情報は探っていくものでもあるが、やってくる情報を整理、編集することのほうが多いはずだ。そこに、あれ?という疑問、気づき、発見がある。それをどのような手法で、どう表現するかだが、料理人が食材を調理することと似ている。
 であるならば、今回のフードポルノについて、料理人、店主の料理についても作品は創作物であるとも考えられる。一方で、少し法律っぽいことを言うと、料理自体は作品であっても、その発注者であるお客とは契約に基づいて取引されるものである。著作権と所有権の衝突になるのではないか。

★店側には不利な状況があるのがSNS・スマホ時代
 SNSに書き込まれること自体を拒んでも、あとの祭りだろう。料理は一品ものだから、そこには提供されたものについてどのように扱われるかは、最初に明示し、注文を受ける前に了解(合意)をいただけていないなら、料理人も店主も普通、そこに正当性を主張するだけの合理的な根拠をもつことはできない。これはいくらミシュランの3つ星レストランのシェフであれ同じであろう。食べてなくなてしまう、復元もできないものに、著作権などの知的財産所有権を主張するのは難しい。せいぜい、書き込まれたことに対する、名誉毀損が争えるかどうかということは、日本の裁判例でもあるとおりだ。
 反対にそれを提供時に拒むなら、それはトラブルのもと、料理は口だけで頂くものでない。雰囲気と場所で印象は変わる。そこには、必ずお客側の主観的なものが入る。「旨いが接客の態度は最悪」と表現されても、裁判などの審判をまっている間だけ大変で、そこに店側にだけ不利になる時間が待っているだけではないかとも考える。

★NewSphere(ニュースフィア)2014年2月18日記事について
 では、どうすればいいか。これは今回のニュースフィアの記事では、一例として、「レストランのメニューにカメラ禁止のマークを導入することによって、客に問題提起している」という事例をあげている。面白い事例である。最近兵庫県内では、飲食店。喫茶店の喫煙について、条例があり、シールが店の前に掲示されている。このシステムに少し似ているのかもしれない。
 また、BBCからの情報として、「写真撮影用のコースを提供しているレストランもあるほどで、すべての高級レストランが同じ見解ではない」という意見などもあげ、多様な意見を国内外から集め紹介した校正の記事であった。ただ、一応のまとめとして、そこに国内外共通して、「マナー」と「撮影の目的」というものが課題としてあがるとし、日本では、具体的にどう対処していくべきということについては、まだ議論を待つという締めくくり方にしている。

★神戸ランチ学会として考えていかないといけないこと。 
 SNSであれ、マスメディアであれ、表現というものに対して、受け手側からすると、そのネームが入ることで、記者との対話が始まり、その記事を信用するかどうかにも影響し、ある意味で判断基準になるのだろうと感じているので、少し最初に海外メディアの姿勢について書いた。昨今の大手メディアの事件では、もはや看板というのは当てにならないと感じている人も多いはずだ。ただ、このような表現手法というのは、また別の機会に研究課題としてメンバーの方とともに考え、提案していきたい。
 現在、グループには週末になると、かなりの量の投稿記事がある。フェイスブックの仕様の関係で、これまでに総数としてどのくらいの写真が投稿されたのかは実はわかない。およその推定で既に1万枚は超えているのではないかと感じている。神戸ランチ学会のグループは、規模はもう千名を超える神戸を中心としたコミュニティである。外食の料理というカテゴリーだけでは、これだけの量と情報が一堂に集まるところは、おそらく稀有なサイトになってきたのではないだろうか。しかし、あえてグループは、投稿サイトではなく、コミュニティサイトにしていくとしている。
 であるならば、このグループの場と、神戸ランチ学会の場で、まずは撮影時のマナーについて、少し啓発活動的なものを行っても良いのではないかと考えている。他にもたくさんできることはありそうに感じる。そこで、今回は、その点について、あえてフードポルノという見出しにはしているが、神戸ランチ学会の永遠のテーマである、「笑顔で楽しく」、お店とお客が信頼関係を構築しながら、つながっていくために、神戸ランチ学会らしくできそうなことの提案、意見を広く集めていければと考えている。

ご意見は、このページへのコメントでもいいが、FBページでのメッセージでも歓迎する。ある程度集まってきたところで、FBページを活用し、さらに多くのファン、メンバーの皆様とよりよい具体策を提案し、実行できるものは実行していくような感じにしていきたい。どうかご協力のほどよろしくお願いいたします。




(参考)
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